寒い冬になると登場するのが『ヒーター』です。
かなりのご家庭で重宝されている暖房器具の1つになりますよね。
ただ、一概にヒーターと言っても中々の種類があるため、購入する際はどれを選んで良いのかもよく分かりません。
また、自分の家のヒーターがどのくらいの性能の物なのか、電気代はいくらくらいなのかをチェックしたい人も多くいらっしゃるのではないのでしょうか?
結論からお話しすると、ヒーターの電気代はかなり高い部類に入るため、気にせず使用し続けていると冬の電気代がとんでもないことになります。
加えてそれぞれのヒーターには特徴があり、メリット・デメリットも存在するため、確認せずに購入してしまうと『電気代ばかりが掛かって生活が良くならない』といった事態に陥ることもあります。
この記事では、全種類のヒーターの特徴・電気代・メリットとデメリットをまとめました。ヒーターについてチェックしたい項目がある人は必ず目を通してみてくださいね。
暖房器具はエネルギー消費量が多い
『そもそもなんで暖房器具を省エネしなければいけないの?』
結論からお話しすると、暖房器具がエネルギーを多く消費しているからです。
次の円グラフを見てください。
出典:経済産業省 省エネルギー庁「省エネって何?」
上記のとおり、暖冷房器具というのは家電の次にエネルギーを多く消費していることが分かります。はっきり言えば、電気代が高いというわけです。
また、家電と暖冷房の種類の多さも省エネの必要性に関係しています。
【家電の種類】
冷蔵庫・テレビ・食器洗い乾燥機・電気便座・電子計算機・炊飯器・洗濯機・その他家電製品
全8種類
【暖冷房の種類】
石油ファンヒーター・石油ストーブ・エアコン・電気カーペット・ガスストーブ・その他暖冷房製品
全6種類
このように、家電の種類がぜんぶで8種類なのに対して、暖冷房の種類は6種類しかありません。つまり、どういうことなのかと言うと、
暖冷房は製品1つあたりの消費エネルギーが大きいということになります。
電気代にはこの”消費エネルギーの大きさ”がダイレクトに影響してくるため、暖冷房の系統は電気代が高くなる部類に入ってきます。
そのため、エネルギーの消費を抑える『省エネ』が必要になってくるというわけです。
皆さんと今回見ていくのは、エアコンではなく”ヒーター系”です。ヒーターは冬になると重宝する暖房器具ですが、エネルギーも多く消費しています。
ちなみに、ヒーター系統の電気代と特徴を見ていくことで電気代は年間2,000円以上安くすることができます。
紹介するヒーターは、ぜんぶで7種類です。
※クリックすると各ヒーターの特徴と電気代の項目へスキップします。
1.石油ファンヒーター
コロナ・ダイニチ・サンポット・トヨトミ
石油ファンヒーターの特徴
原料は”灯油”です。本体の内部で灯油を燃焼させ、その熱を送風ファンを用いて空気中に放熱することで部屋を暖めています。
電気代はどこで消費しているのは、灯油を燃焼している部分ではなく、そういった動作の制御や電源などの回路です。
メリット・デメリット
- 短時間で部屋全体を暖めることが可能
- コストが非常に安い
- 持ち運びが簡単でリビング向き
- 室内で排気もしているため換気が必要
- 灯油を購入・給油などの手間がかかる
- メンテナンスにも時間がかかる
石油ファンヒーターの電気代
1日(9時間/日)使用したときの電気代
石油ファンヒーターの灯油代は0.2ℓで16円と言われています。
電気代が1時間あたり0.5円なのであわせて16.5円/時となります。
1日9時間使用しているのであれば148.5円、これを1か月続けると4,455円の電気代が発生します。
約4,500円で部屋全体を暖めることのできる石油ファンヒーターはかなりコスパの良い暖房器具と言うことができるでしょう。
節電のワンポイント
石油ファンヒーターの節約は主に2つあります。
- 室温設定を20℃に
- 使用時間を短くする
この2つの節約がどのくらい有効なのかをサクッとみてみましょう。
外気温度6℃の時、暖房の設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日)
年間でガス10.22Lの省エネ、原油換算9.68L、CO2削減量25.4kg
約1,020円の節約
参照:経済産業省 省エネルギー庁「省エネ行動と省エネ効果」
1日1時間運転を短縮した場合(設定温度:20℃)
原油換算16.04L、CO2削減量41.5kg
年間でガス15.91m3の省エネ、約1,590円の節約
年間で電気3.89kWh、約90円の節約
合計 約1,680円の節約
参照:経済産業省 省エネルギー庁「省エネ行動と省エネ効果」
上記のとおり、この2つの節約はかなり効果があることが分かります。また、どちらも実践のハードルが低く継続しやすい省エネのため、非常におすすめです。
2.ガスファンヒーター
ガスファンヒーターとは?
原料は”ガス”です。本体内部でガスを燃焼し、その熱を送風ファンで放熱することで部屋全体を暖めています。
石油ファンヒーターのガス版と考えていただいてOKです。
メリット・デメリット
- 吹き出し温度が高いため、部屋が短時間で暖まる
- 水蒸気の発生により部屋の乾燥を防ぐ
- 給油する手間がかからない
- 運転音が静か
- 使用場所が限られる
- コストが高い
- ガスの臭いがあるため定期的に換気が必要
ガスファンヒーターの電気代&ガス代
1日(9時間/日)使用したときの電気代
ガスファンヒーターには、
- 20号
- 35号
- 50号
といったように大きさの違いがあります。電気代の目安を紹介するのは、一般住宅で最も使用されることの多い20号(7畳~9畳用)の料金です。
都市ガスを使用する前提で見ると、1時間あたりの電気代は約14円程度です。一方で、ガスファンヒーターの場合は”ガス代”も考慮する必要があります。
1日9時間使用すると126円、1か月続けて使用すると3,780円の電気代です。
都市ガスの単価は地域によって違いますが、LPガスを使用している場合は都市ガスよりもガス代は高くなります。高くて1.5倍程度のガス料金が発生します。
節約のワンポイント
ガスファンヒーターの節約は主に2つあります。
- 室温設定を20℃に
- 使用時間を短くする
ちょっと地味な節約ですが、絶大な効果があります。どれくらい有効な節約なのかを見ていきましょう。
外気温度6℃の時、暖房の設定温度を21℃から20℃にした場合(使用時間:9時間/日)
年間でガス10.22Lの省エネ、原油換算9.68L、CO2削減量25.4kg
約1,020円の節約
参照:経済産業省 省エネルギー庁「省エネ行動と省エネ効果」
1日1時間運転を短縮した場合(設定温度:20℃)
原油換算16.04L、CO2削減量41.5kg
年間でガス15.91m3の省エネ、約1,590円の節約
年間で電気3.89kWh、約90円の節約
合計 約1,680円の節約
参照:経済産業省 省エネルギー庁「省エネ行動と省エネ効果」
この2つは、簡単に実践に移すことが可能なため、年間で2,000円以上の節約を狙うことができます。
どちらもかなり効果的な節約ですので、”どちらか1つ選んで”さっそく実践してみてくださいね。
3.セラミックファンヒーター
セラミックファンヒーターとは?
原料は”電気”です。
別名”電気ファンヒーター”とも呼ばれます。
本体内部のアルミニウムに電気が流れて特殊加工したセラミックが発熱し、その熱を送風することで部屋を暖めています。
スイッチ1つで簡単に機能する手軽さが魅力的で、最近のものであれば、空気清浄機能・脱臭機能・加湿機能など様々な機能が備わったものが登場してきています。
メリット・デメリット
- スイッチ1つで凄く手軽
- 温風を吹き出すので暖まるのがはやい
- コンパクトで軽く持ち運びやすい
- 値段も安く手に入りやすい
- 広い部屋の設置には向かない
- 電気代が他よりも高い
- 室内が乾燥しやすい
セラミックファンヒーターの電気代
セラミックファンヒーターの消費電力は次の大きさがほとんどです。
- 弱モード:600W
- 強モード:1,200W
これを1kWhあたり26.5円の電気料金で計算すると電気代は次の価格になります。
- 弱モード:15.9円/時
- 強モード:31.8円/時
セラミックファンヒーターの電気代は、1時間あたり16円~32円となります。1日9時間で1か月使用した場合の電気代は4,293円~8,586円です。
決して電気代が安いとは言えないため、使用場所や時間を選ばなければいけないところが少し難しいポイントになりますね。
4.ハロゲンヒーター
ハロゲンヒーターとは?
”ハロゲンランプ”を発熱させることで部屋を暖かくしているヒーターです。
本体内部の”ニクロム線”に電気を流すことでランプを発熱させています。ハロゲンランプには、ハロゲンガスが入っており効率的に発熱するようにもなっているのが特徴です。
メリット・デメリット
- 数秒で発熱するほどの即暖性
- 空気を汚さず非常にクリーン
- 軽量でコンパクト
- 安価で購入することができる
- エアコンと併用すると効果的
- 部屋全体を暖める力はない
- 空気を乾燥させるため加湿が必要
- 消費電力が大きく電気代が高い
ハロゲンヒーターの電気代
ハロゲンヒーターの消費電力は、一般的に次の大きさです。
- 弱モード:500W
- 強モード:1,000W
これを1kWhあたり26.5円の電気料金で計算すると、電気代は次の価格になります。
- 弱モード:13.25円/時
- 強モード:26.5円/時
ハロゲンヒーターの電気代は、1時間あたり13.3円~26.5円となります。1日9時間で1か月間使用した場合の電気代は3,578円~7,155円です。
暖房能力の低さから考えれば、決して安いとは言えない電気代になります。ただ、ハロゲンヒーターの長所は電気代以外にあるので難しいところでもありますね。
5.オイルヒーター
オイルヒーターとは?
原料は”オイル”です。密閉のパネル内にオイルを入れた後、電気を使って暖めます。暖めたオイルを更に循環させることでどんどん部屋を暖かくするヒーターです。
日本でも最近普及してきており、家庭に溶け込むシンプルなデザインのものが多い特徴があります。
メリット・デメリット
- 空気を汚さず非常にクリーン
- 運転音が静かホコリも立たない
- 持ち運びが容易
- メンテナンスの必要がない
- 電気代が非常に高い
- 小さい部屋での使用に限られる
- 部屋が暖まるまでに時間がかかる(1時間程度)
オイルヒーターの電気代
オイルヒーターの消費電力は、一般的に次の大きさです。
- 弱モード:600W
- 強モード:1,200W
これを1kWhあたり26.5円の電気料金で計算すると、電気代は次の価格になります。
- 弱モード:15.9円/時
- 強モード:31.8円/時
オイルヒーターの電気代は、1時間あたり15.9円~31.8円となります。1日9時間で1か月間使用した場合の電気代は4,293円~8,586円です。
暖房器具の中でも1番高い電気代になります。メリットが多い分、オトクな部分もあることは事実ですが、使用場所を選ぶのと暖まる時間が長いデメリットは結構大きいです。
6.パネルヒーター
パネルヒーターとは?
パネルヒーターは、名前の通りパネルのような形状をしたものが多く、電気を流して熱を発生させるヒーターです。
他のヒーターと比べて圧倒的に薄く非常にコンパクトなのが特徴です。トイレや脱衣所、洗面所に設置するヒーターとしては、最有力候補といっても過言ではありません。
メリット・デメリット
- 安全性に優れている
- 騒音性もなく無風である
- 非常にクリーンでホコリも立たない
- 軽量コンパクトで持ち運びも容易
- 部屋全体を暖めるほどの力はない
- 使用場所が限られてくる
- 電気代がそれなりに高い
パネルヒーターの電気代
パネルヒーターの消費電力は、一般的に次の大きさです。
- 弱モード:500W
- 強モード:1,000W
これを1kWhあたり26.5円の電気料金で計算すると、電気代は次の価格になります。
- 弱モード:13.25円/時
- 強モード:26.5円/時
パネルヒーターの電気代は、1時間あたり13.3円~26.5円となります。1日9時間で1か月間使用した場合の電気代は3,578円~7,155円です。
安すぎず高すぎずといった電気代です。オイルヒーターより安くはなりますが、暖房器具全体でみても高い部類に入るヒーターになります。
7.カーボンヒーター
カーボンヒーターとは?
カーボンヒーターは、不活性ガスの中に炭素繊維を入れた石英管を利用しており、ハロゲンヒーターと比較して体感温度が高くなるといった特徴があります。
非常に熱効率の高いヒーターとして人気となっているヒーターです。
メリット・デメリット
- スイッチ1つで暖まる手軽性
- 数秒で暖まる熱効率と機能性
- クリーンでホコリが立たない
- 軽量で持ち運びがしやすい
- 熱効率がハロゲンヒーターの2倍あるため、電気代が安い
- 本体価格が高い
- 本体サイズが大きい
- 広い部屋での使用には向かない
カーボンヒーターの電気代
カーボンヒーターの消費電力は、一般的に次の大きさです。
- 弱モード:400W
- 強モード:800W
これを1kWhあたり26.5円の電気料金で計算すると、電気代は次の価格になります。
- 弱モード:10.6円/時
- 強モード:21.2円/時
カーボンヒーターの電気代は、1時間あたり10.6円~21.2円となります。1日9時間で1か月間使用した場合の電気代は2,862円~5,724円です。
電化製品という中では安い電気代とまでは言えませんが、暖房器具の中ではかなりオトクな部類に入ります。
広い部屋で使えないのだけが残念ですが、それ以外の能力は文句なしで1番です。毎月の電気代も高くないのが嬉しいところでもありますね。
さいごに
ヒーターは便利な暖房器具であることに間違いはありませんが、注意して使用しないと毎月の電気代がかなり高くなります。
- 毎回の使用温度を1℃上げる
- 使用時間を1時間短くする
これだけで毎月の電気代は1,000円~2,000円安くすることができます。
特徴を理解してヒーターを購入するとともに、こういった節電方法もセットで覚えて”便利のままオトク”に性能を活かした使い方を実践してみてくださいね。
毎年、寒すぎるほどの冬が到来していますが、今年は自分のライフスタイルにあった暖房器具を集めて快適な冬を過ごしていきましょう!